WorkShiftInstitute

株式会社ワークシフト研究所

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東急不動産株式会社

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ダイバーシティ推進室

東急不動産株式会社 ダイバーシティ推進室 ご担当者インタビュー ~女性管理職を増やすには組織風土づくりから チャレンジ精神あふれる女性社員に適した研修を!~

総合不動産企業として、まちづくりや商業施設など生活に密接した事業に取り組む東急不動産。多様な生活者の目線が不可欠であり、東急不動産ホールディングスグループとして人財戦略の三本柱の一つに「多様性と一体感のある組織づくり」を掲げています。その一環で2023年4月に専門部署、ダイバーシティ推進室が立ち上がりました。KPIの一つが「女性管理職比率20%以上(2030年4月)」。そこで、女性リーダーを増やすための土壌づくりとしてワークシフト研究所の研修を導入していただきました。参加者はリーダー職の一歩手前にあたる職層の女性社員20名。社内から希望者を募り、個別のコーチングとセットで実施しました。担当した人事部 人材開発グループ・ダイバーシティ推進室の 課長補佐 永井 久美子氏(写真左)と主任 ウコンマーンアホ 万里氏(写真右)に、同社の取り組みや今回の研修について聞きました。

  • ―ワークシフト研究所の研修を導入することになった経緯、導入の決め手を教えてください。

    弊社は、すでに女性の役員も輩出するなど、以前から女性社員が活躍する風土がありました。その一方で、数字で見ると全社的には女性比率が約3割、そのなかで女性管理職となるとまだまだ少ないという課題がありました。ここ数年の新卒採用では、女性比率が5割近くになっていますが、その上の年代にあたる管理職層、管理職候補層の女性の人数が少ないのです。加えて、男性も含めて働き方やキャリアの在り方がもっと多様になっていく必要があるという課題感を持っており、2年前に人事制度も変更しました。

    変更の一つが昇格で、一定の要件のもと、自分で手を挙げるエントリー制になりました。その意図は、例えば、ライフイベントを考えて早めにチャレンジすることも可能ですし、逆にライフイベントが落ち着いてからのチャレンジもできる。キャリアの在り方を多様化するために、制度として自分で選べるようにしたのです。

    一方で、制度を根付かせるには、マインドセットや組織風土から変えていかなければいけないとも感じています。社内のアンケートからも、特に女性社員が管理職への挑戦にハードルを感じている傾向が見られました。この状態で昇格が自薦式になると、女性が遠慮して手を挙げないかもしれません。そのようなことを想定したうえで、リーダーシップに関する女性のスキルアップや、挑戦を後押しするための研修を導入したいと考えました。

  • ―研修に求めたものや、そのなかでワークシフト研究所の研修を選んだ理由は何でしょうか。

    研修の目的は、次にリーダーになる存在として、リーダーシップを発揮するためのマインドセットや具体的なビジネススキルの獲得、それから全社的に約3割にとどまる女性同士のネットワークをつくることも、副次的な効果として期待していました。

    研修を探すにあたっては、とにかくインターネットでいろいろと検索しました。そのなかで小早川さん(弊社代表取締役社長の小早川優子)のコラムを発見し、すごく興味深い内容だと感じました。検索すると、『日経Woman』の講座なども担当されていたので、これだけ多くの企業で研修実績がある方なら、きっと当社の業界の事情や社風なども理解したうえで研修をやってくださるに違いないと思いました。

    女性向けの研修というと、やはり女性のライフイベントをどう乗り越えるかなど、女性ならではの事情を何とかしようというスタンスが中心です。でもワークシフト研究所の研修は、社内でどうやってリーダーシップを形成していくか、といったビジネスサイドからのアプローチがとても魅力的でした。当社の女性社員はチャレンジ精神がある人が多いので、ライフイベントを乗り越えましょう的な内容よりは、今いる場所からステップアップしていく内容のほうが合っていると考えました。

  • ―導入はスムーズでしたか。社内の反応はいかがでしたか。

    東急不動産ホールディングスとして、2030年までに女性管理職比率を2割にするという目標を掲げていますが、現状はギャップがあります。その共通認識があったので、上層部や人事部内でもごく自然に、このような研修ならば有効だろうという合意形成ができました。

    ただ、女性に特化した研修は初めての試みだったので、社内に発信する際には、女性たち自身から「括られること」に対する否定的な声が出ないかと心配していました。実際には杞憂でしたが、告知のメッセージに気を付けました。我々、ダイバーシティ推進担当だけではなく、会社全体でコミットして推進していることであり、期待をしているのだとしっかり伝えるようにしました。告知の段階で役員にも登場してもらったほか、研修内容も明示し、ライフイベント系ではなく、リーダーになりたい・リーダーシップにについて悩んでいる、そういう人たちに参加してほしいものだと訴えました。

  • ―実際に参加された皆さんの感想はいかがでしたか。

    非常に好評でした。まずコーチングは、やはり外部講師だからこそ率直に何でも相談でき、それに対して客観的なアドバイスをもらい、新しい視点を得られたようです。研修のほうは、2日間の日程に相当内容を詰め込み、かなりボリューミーでしたが、その点がすごくよかったと評価されました。短い時間で効率的に学びを得たいと考える社員が多いので、とても満足度が高かったです。ボリューミーだけども講師の先生の話はわかりやすく、効率的に学べたと好評でした。

    加えて、想定以上の反響だったのがケースワークとランチを通じたネットワークづくりです。ランチタイムはネットワーキングランチと位置付け、交流にあてたのですが、話すことで研修内容の理解が深まり、同時に、社内にこのように活躍している女性たちがいることを知って、すごく励まされたという声が多かったです。

    「リーダーに挑戦したいという意欲が高まった」や「今後のキャリアに前向きになった」といった声も多く上がりました。研修の様子を見ていても何か自信がついたような、自己評価が高まったような、そんな前向きなインパクトがあったように感じました。「今までは経営視点が足りていなかったことに気付いた」といったコメントも目立ちましたね。社内でいろいろな人が頑張って働いているところに刺激を受けるなど、副次的な効果もあったと思います。

  • ―事務局として参加してみて、いかがでしたか。

    2日間でこれだけの量を学べる、そのスピード、内容量、そしてレベルの高さ。一つ上の視座やスキルが身につく研修だと感じました。ネットワーキングも、ランチだけでなく、ケースワークを通じて自分の今の仕事はこういう状況であると話し合うなど、それぞれの事業の情報交換にもなるところがポイントで、現実的に仕事に生かせるネットワークになりそうだと思いました。

    本当にそうですね。先生の言葉で印象深かったのは、女性が管理職になりたがらないのは、環境がそうさせているということ。男性は周囲に管理職のロールモデルが多いので、ごく普通に自分もなると意識づけされますが、女性は、これまでだと仕事も家庭も完璧にやるスーパーマンのような人が管理職になるという印象が強く、自分はそのようになれないと、自分自身でどんどんハードルを上げてしまうというお話でした。

    その流れで小早川先生が、スーパーマンのような能力が高い人ではなくごく普通の人、もっと言うならダメな人も、どんなリーダー像でも後輩の参考になるので、完璧である必要はないともおっしゃっていました。それはすごく、個人的にも励まされる話でした。参加者のみなさんもそうだったと思います。ランチタイムは、特にテーマを設けずに自由に話をしました。先生も順番にテーブルを回ってくださったので、皆さん、日頃感じている課題や悩みなどの話をできたと思います。

  • ―ダイバーシティを推進するうえで、社内教育が果たす役割は何でしょうか。

    日々、ダイバーシティの仕事をしていて思うことは、女性活躍でも男性育休でもダイバーシティでも、その実現には単純に制度や施策をつくるだけでは足りず、組織風土をつくっていくことが重要だということです。でも、これがいちばん難しい。まずは女性だけでなく、従業員と管理職、経営層やマイノリティとマジョリティ、当事者と非当事者など様々なレイヤーで自分ごと化されていく必要があると思っています。

    その組織風土づくりにこそ社内教育、特に研修が、考える機会をつくるうえでとても大きな役割を果たすのではないかと考えています。女性活躍にしても、男性を含めたみんなに女性活躍が大事だと教育するだけでなく、女性自身の気持ちを後押しし、自信をもって挑戦してもらうための教育も必要です。なので、いろいろな角度からいろいろな層に対して働きかけていくことが重要ではないでしょうか。今回の研修は、来年以降も同じような形で実施していくと思いますが、並行して違う施策を、別のレイヤー向けにも考えていきたいです。

  • ―御社のように課題を抱え、研修の導入を考える企業さまへのメッセージをお願いします。

    今回は私たちも初めての取り組みで、このすごいボリュームをやりきれるか、内容はこれでいいか、ケースの選択は適切かなどいろいろと心配しました。でも、すべて杞憂でした。ワークシフト研究所さんは豊富な実績があるので、この内容なら刺さる、この進め方なら大丈夫など、実績に基づくご提案をいただけます。多くの女性、企業と接してきたうえで我々に対してのコンサルティングをしてくれるので、どのような企業さんでも、状況に応じた的確な提案や研修の企画をしていただけると思います。

    実際、我々も、既存の研修内容との重複部分を省いたり、ケースの内容についても納得のいく説明をいただけたりするなど、丁寧な準備をすることができ、当日は狙い通りにとても盛り上がりました。今回はコーチングと研修のセットでの導入でしたが、事前のコーチングの結果を踏まえて研修内容も少し変えたり、1日目の反応を見て、2日目はよりレベルアップしていただいたりと、そのようなこともすべて臨機応変に対応していただけました。宿題のレポートで参加者の理解度を判断し、少しスピードアップもしました。経験、実績に基づく細かい調整は見事で、参加者も誰ひとりウトウトするようなことはなく、本当に密度の濃い2日間でした。

    定型的なプログラムを、ただ提供する研修ではないので、もし、「これがしたい」と明確に決まっていなくても大丈夫だと思います。漠然とした課題感があり、打ち手に困っているという相談をすれば、きっと何か提案をいただけると思います。

  • ―今回の研修の成果を踏まえ、さら組織風土づくりを進めるうえで、どのような施策をお考えですか。

    今回、ネットワーキングがとても好評だったので、より広い年代のネットワーキングになるような施策、いろいろなところにコンスタントにネットワークが生まれるような施策を何かやれたらいいですね。また、管理職層は、ジェンダーだけでなくシニア活躍、世代間ギャップなども含めてダイバーシティマネジメントに悩んでいると思うので、そのような悩みを解決できる施策を打てたらと考えています。

    あとは、社内に「GREEN FLAG PROJECT」と名付けた有志の社員によるプロジェクトがあり、様々なテーマで組織風土改革などに取り組んでいるのですが、その一つにダイバーシティのコミュニティもあります。人事として打つ施策だけでなく、関心のある社員が集まったボトムアップの取り組みも広げ、様々な形で組織風土づくりにつなげていきたいです。

    このような取組を社外に発信することも重要だと思っています。社外の方から「東急不動産さんは進んでいますね」などと言われると、社員も関心を持ち、自分の会社が何をやっているか調べてみます。そんなブーメラン効果のようなものもあると思うので、様々な形で社外から、いい意味でのプレッシャーを受けながら、社内のムーブメントにつなげていきたいと考えています。

  • ―御社の進化が楽しみです。どうもありがとうございました。

    取材・ライター:山田雅子

  • インタビュー後記

    東急不動産様には、2023年度に初めて弊社の研修を導入いただきました。ディスカッションに使用するケース教材は複数ご提案しました。事前ヒアリングで伺っていた参加者の属性やレベル感と、受講者の5年先10年先のありたい姿を捉え、不動産業とは少し離れた業界のケースをご提案し、既存の知識や経験だけでは対応できないストレッチな内容で研修に臨みました。また、既に受けている研修との相乗効果を狙い、過去の学びを振り返り、獲得した知識を職場で実践されるよう行動変容を促すことに焦点を当てたプログラムにカスタマイズをしました。事前の個別コーチングと丸2日の集合研修を担当し、参加者の皆さんが本来持っている潜在力が花開いたことを強く体感し、そのお手伝いができたことを大変嬉しく思っています。どのような社内研修も、事務局様の事前準備や熱意があってこそ初めて成功します。永井さま、ウコン様、ありがとうございました。(講師:小早川 優子、担当Y)