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2026/2/20

コラム

【コラム】女性管理職を増やすにはどうしたらよいですか?

女性管理職を増やすにはどうしたらよいですか?

帝国データバンクが2025年7月に実施した調査によると、女性管理職の割合は平均11.1%で過去最高を更新した。政府目標である「女性管理職30%」に該当する企業の割合も過去最高の11.9%となった。

ワークシフト研究所では、2019年にコラム「『女性社員が管理職になりたがらないんです』の構造的な課題と解決策」を3回連載で紹介した(連載第1回はこちら)。
連載から6年を経た帝国データバンクの上記調査でも、女性が管理職にならない理由として、女性自身が昇進を望まないという考え方や、家庭と仕事の両立が困難であること、適切な女性人材がいない、などといった問題が引き続き指摘されている。

今回のコラムでは、弊社の過去の連載内容を加味しながら、上記問題への対処法を考えたい。

「女性が昇進を望まない」は誤解である

まず、「女性が管理職になりたがらない」という認識は誤解であることが多い。

少し古いデータで恐縮だが、独立行政法人国立女性教育会館が2019年に行った調査によると、入社時に管理職を希望する女性は約60%いるが、勤続年数を重ねるにつれ、この割合が急速に低下する。つまり、女性は最初から管理職に対する意欲、モチベーションが低いのではなく、職場環境からなんらかの影響を受けることで、その意欲を急速に低下させている

女性の管理職志向が低下する3つの理由

国立女性教育会館の同じ調査から、管理職志向のない女性の理由として、以下が挙げられている。

1. 仕事と家庭の両立が困難になる

最大の要因である。特に注目すべきは、調査対象が入社年次がまだ若い、結婚していない女性が多い世代であろうはずなのに、多くの女性が両立への不安を抱いていることだ。これは実際に両立しながら管理職として活躍している女性が組織内に少ないという現実が大きく影響している。別のある調査では、「風土と制度が整っていれば」という条件付きで、出産後に管理職を目指す女性が79.6%に達することが示されている。

2. 自分には能力がない

ここで重要なのは、これが実際の能力の欠如ではなく、女性自身の「自信」の欠如であるという点だ。初期キャリアで定型業務に留め置かれ、挑戦的な経験を与えられないと、女性は「自分は仕事ができない」という錯覚に陥る。同じポテンシャルを持つ男女でも、初期段階で経験する仕事の質が異なれば、その後の自信と意欲、モチベーションは著しく異なるものになる。

3. 周りに同性の管理職がいない

マイノリティであることの心理的影響は無視できない。ロールモデルがいなければ、キャリアパスが想像しづらく、チャレンジへの心理的ハードルが高まる。

女性管理職を増やす3つの対策

女性管理職を増やすには、一体どうしたらよいのだろうか。

対策1 :新卒から3年以内に意図的なチャレンジをさせる

女性のキャリア形成において、新卒から3年程度の期間は極めて重要である。この時期に挑戦的な経験を積ませられるかどうかが、その後の能力開発と自信形成を左右する。

多くの企業では、出産・育児を懸念して女性社員に守りの姿勢を取るが、これが女性の成長機会を奪い、自信を削ぐことになる。前例に倣って男性部下にはチャレンジさせ、女性部下は守るというバイアスは、やがて男女間のスキル差として顕在化する。

重要なのは、早い段階から自ら提案させ、失敗を経験させることである。管理職になってから初めて失敗を経験するようでは、失敗への恐怖心が増幅され、何もしない管理職になってしまう。失敗はキャリア成長の学習機会であり、レジリエンス(失敗からの回復力)を育成する貴重な経験である。

チャレンジさせる際の「伝え方」も重要だ。「女性をリーダーにしないといけないから」という発言は避け、「あなたの仕事を評価しているからこそ、このチャレンジを打診している」というメッセージを一貫して伝えることが大切である。

対策2 :両立支援を「制度」と「風土」で示す

制度があるだけでは不十分である。重要なのは、制度が実際に機能し、その中で管理職として活躍できるという実感だ。

出産・育児休業を取得しても昇進チャンスがあるのか、将来のキャリアに支障がないのかを、明確に社員に伝える必要がある。育児休業から復職する社員に対して、リーダーシップを求める仕事分担や声がけは極めて効果的である。なぜなら、それは「あなたのキャリアは中断されていない、むしろ期待している」という最も説得力のあるメッセージを伝えるからだ。

ライフプランに合わせた中長期的なキャリアビジョンが描ける制度・評価方法を構築し周知することが、女性社員のやる気を引き出す鍵となる。

弊社の所長を務める国保祥子(静岡県立大学経営情報学部准教授)は、女性のキャリア選択における興味深い事実を指摘している。

女性のうち、環境に関係なく仕事を志向する層は約2割、同じく家庭を志向する層は約2割いるのですが、残りの6割は「環境次第」で仕事志向にも家庭志向にもなりえます。この6割の女性が無理なく仕事を続けられるような環境を作ることが、企業の女性活躍推進施策として最も効果的なアプローチとなります。

対策3 :女性も含めてジェンダーバイアスを組織全体で取り除く

女性の自信低下は、職場に蔓延するジェンダーバイアスによって構造的につくられることがある。女性のみに雑務を頼む、女性に期待する要件が男性と異なる、女性へのアドバイスがリーダー像とズレているなど、日常的に発揮されるバイアスが、女性を混乱させ自信を奪っていく。

また、組織全体で上司のハラスメントリテラシーを高め、バイアス研修を実施することが重要となる。同時に、女性社員自身が持つ無意識のジェンダーバイアスへの対処も不可欠である。

女性管理職育成には外部研修を活用して背中を押す

「適切な女性人材がいない」という課題についても、同じ論理が当てはまる。人材は発見するものではなく、育成するものである。

弊社が提供する「プチMBAマスタープログラム」のような異業種研修を通じて学ぶことで、87%の参加者が「管理職に対する興味・意欲が向上」したという報告もある。

受講生の多くは、実は高い管理職志向を持っている。にもかかわらず、上司や人事部には「管理職になりたくない」と答えている人が少なくない。その理由のひとつに、「会社に期待されていないように感じる」というものがある。

受講生に対して丁寧にキャリアコーチングを行うと、管理職志向が低いと思われている女性社員にも、実は隠れた興味や意欲、モチベーションがあることが多く、自信がないだけでそのように感じていることがある。人事や上司の皆さんには、女性社員の表面的な回答ではなく、背後にある本音に耳を傾けることを強くお勧めしたい。

まとめ

新卒から3年の早期段階でチャレンジを促し、社内に両立可能な環境と制度をつくり、組織全体のジェンダーバイアスを取り除く。この3つの対策を組み合わせることだけでも、女性の管理職志向は確実に向上することが見込まれる。

女性活躍推進法の改正により、2026年4月からは、女性管理職比率などの公表義務が従業員数101人以上の企業に拡大される方針が決定されており、女性管理職候補の擁立、育成は中小企業にも待ったなしの課題となっている。ワークシフト研究所では、女性活躍推進に特化した「組織変革コンサルティング」の提供を開始した。女性管理職の育成にお困りの際は、ぜひお声がけいただきたい。

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