WorkShiftInstitute

株式会社ワークシフト研究所

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ウイングアーク1st株式会社 サステナビリティ推進室 ご担当者インタビュー 〜取り組みスタートから5年。活躍する女性管理職!研修を通じて意識改革、DE&I推進、個人のスキル向上を実現〜

「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future. 情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」をビジョンに掲げ、帳票運用、データ活用、業務効率化などのソリューションを展開しているウイングアーク1st株式会社。2019年に、現サステナビリティ推進室・室長の鹿島忍氏の問題意識から女性活躍推進プロジェクトがスタート。女性の意識改革、全社的なDE&I推進、個々のスキルアップなどを通じて、一貫して女性管理職比率の向上に取り組んできました。ワークシフト研究所はそんな同社と当初からタッグを組み、過去には女性社員向け研修、全社向けダイバーシティ研修を提供したほか、現在は弊社が一般に提供している半年間のプログラム『プチMBAマスタープログラム』を、子育て中の女性社員のスキルアップに活用いただいています。鹿島氏に同社の約5年間の取り組みと成果について話を聞きました。(取材日:2024/5/23)

  • ―女性活躍推進に取り組み始めたきっかけを教えてください。

    鹿島さま
    2019年に遡るのですが、この年度は若手の女性が多く退職しました。正確な理由はわかりません。女性活躍の専門部署もないなかで、私は育児仲間でもあった同僚と「何かあるのかな。ちょっとこれはまずいよね」などと話していました。当時、会社はまだ「女性活躍」という意識がなかったので、これは自分たちがボトムアップでチームを立ち上げて、女性が中長期的に働ける環境をつくっていかなければいけない。そんな話を同僚としました。当時、私は経営企画で同僚は営業でした。

    早速、人事部門の役員に、このような課題があるので女性活躍プロジェクトのようなものを立ち上げたいと話し、許可をもらって二人で動き始めました。まず、経営陣に訴えるために女性活躍の意義や効果を示す資料を一気につくり、緊張しながらプレゼンしました。難しい反応を示されるかとも思ったのですが、会長を筆頭に経営陣は「いいじゃない」「やりましょう」と好反応で、思いのほかスムーズにスタートできました。

    言ってみるものだと思いました。逆に、言わなければ何も始まりません。早速、翌年から予算がつき、施策を打っていくことになりました。動き始めたあとも経営陣は一貫して協力的でありがたいです。プロジェクトメンバーは個別に声がけをして、部署の偏りが出ないように7名のメンバーを集めました。そして最初の施策が、ワークシフト研究所による女性向け研修でした。女性の意識改革を狙いました。

  • ―なぜワークシフト研究所をパートナーに選んだのですか。

    鹿島さま
    人からいいと聞いて、私が個人的にワークシフト研究所のプログラム1を受講していました。2人目の育休明けのときです。当時はマミートラックでがっくりと気持ちが落ち、わらにもすがるような思いで受けに行きました。個人で受講するには少々値段が高かったのですが、その受講経験は大きな気づきにつながり、改めてこれを会社に導入したい、悩んでいるほかの人にも受けてほしいと思いました。なので、プロジェクトを立ち上げた時点でワークシフト研究所の研修を導入したい気持ちはありました。

    このときは、事前にプレ研修的な講義とケースディスカッションを行い、実際に20人ほどの女性社員が集まりました。小早川さん(弊社代表取締役社長の小早川優子)ご自身が一つのロールモデルであり、そのお話は参加者に大いに刺激になったようです。このような手法も、ワークシフト研究所をいいと思った理由の一つです。というのも、スタート時点では私たちも何が問題なのか明確にはわかっていなかったためです。一緒に進めるなかで徐々に課題が明らかになり、優先的に学ぶべき内容を決めていきました。


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  • ―その後、実際に女性向け研修を行い、さらに全社向けのダイバーシティ研修へと発展しました。どのような経緯だったのでしょう。

    鹿島さま
    女性向け研修は、自分らしいキャリアを手にいれるための意識改革と行動を促す内容で実施しました。事後のアンケートでは気づきやマインドの変化が見られ、一定の成果が得られたと思います。しかし、プロジェクトの若手メンバーからは「女性の意識改革の前に男性の理解が必要だから、全社員に向けたダイバーシティ研修をしたらどうか」という提案がありました。

    正直に言うと最初は「えっ?」と思いました。これは女性活躍のプロジェクトだから対象は女性だろうと。私も頭が固かったのですね。世代の違いで見えている風景も違っていました。私たちの世代は「女性が疎外されている」という課題感を持っていたのですが、若手にはそれがない。ごく自然に、男女関係なく理解を深めるべきだと考えるのです。私も改めて考えると、確かにそうだと思いました。若手メンバーに加わってもらってよかったです。

    そこで、まずファクトを検証しようと、全社員を対象にダイバーシティの理解度を探るアンケート調査を行いました。すると、約75%が本質的にはダイバーシティを知らないという結果が出ました。私たちにとっては驚きの結果でした。女性活躍に課題感を持っていた私たちが少数派であり、大半は何も感じていなかった。やはり全社向けのダイバーシティの研修をやろうということになり、2021年に実施しました。

    このときも、もちろんほかの研修会社さんも検討したうえでワークシフト研究所を選んでいます。理由の一つは、女性向け研修の実績があり、圧倒的に信頼感があったこと。それから、同じような価格帯のものは、よくある内容の標準パックのような形式だったこと。ワークシフト研究所は、問題を身近に感じられるように、コンテンツの内容、ケースなどをアレンジしてくれるので、そこが大きく違いました。

  • ―延べ12回実施して、全社員約600人に受けていただいたのですね。

    鹿島さま
    はい。「都合が悪くて出られない」ことがないように12回設定したのですが、これもまったく同じ内容ではなく、回を重ねるごとに、より当社にフィットしたものに進化していきました。当社はみんなが自由に発言する社風なので、そういった反応も取り入れられるものは取り入れて、後半はかなりクオリティが高くなっていったのではないでしょうか。

    それぞれの回の参加者はうまく部門も分かれ、毎回、グループワークでは多様な視点、立場からの発言がありました。実施後のアンケートでは、9割以上が社会の変化を捉えることの重要性を認識し、組織におけるダイバーシティの重要性への理解も深まっていることがわかりました。

    シンプルに研修自体もおもしろかったようです。実施したのは、コロナの渦中だった2021年。テレワークが広がり、日頃のコミュニケーションが不足気味になっていた時期なので、グループディスカッションで幅広くコミュニケーションできたことに対するポジティブなコメントはすごく多かったですね。

    また、これは数字で成果を示せるものはありませんが、体感として、コミュニケーションをより密に取る文化になってきた印象があります。部署横断型のプロジェクトや部活などにいろいろな人が参加するようになったり、その行動を通じてお互いを知り、DE&Iが進んだり。そのような意識が醸成されてきていると見ていて感じます。

    【参考資料:全社員向けダイバーシティ研修のアンケート】

  • ―続く施策として、昨年度から『プチMBAマスタープログラム』に社員さんを派遣していただいています。

    鹿島さま
    はい。女性向け研修、全社向けダイバーシティ研修と実施して、マインドセット、DE&Iの環境づくりで一定の成果が出ました。次は個々のスキルアップとより個別化された課題にフォーカスする意図で、子育て層へピンポイントに施策を打ちました。半年のコースに3名を派遣し、現在は累計で9名が参加したところです。

    この層に絞ったのは、もっとも壁にぶち当たる層だからです。私自身も壁に当たりっぱなしで、後に続く人たちを同じ壁に当てたくないと思いました。絶対に不毛な時間を過ごさせたら駄目だと。現在3期目で、最初は受講者を指名していましたが、今は挙手制に変えました。手を挙げてくれた人を先着で選んでいます。

    ただし、受講には上司の推薦が必要です。上司も期待し、その承諾を得て「頑張れ」と送り出してもらえる人に、堂々と業務スケジュールに組み込んでしっかり受講してほしいからです。この受講履歴は社内の人事管理システムにも記録し、昇進の推薦のときには評価ポイントの一つとしてもらいます。

  • ―なるほど。人事制度の一環に位置付けられて、実績としてカウントされるということですね。そこまでの仕組みにつくり上げた鹿島さんとプロジェクトチームがすごいと思います。

    鹿島さま
    ありがとうございます。そう言ってもらうと嬉しいですが、まだまだ施策としてはまったく足りていません。

    ちなみに『プチMBAマスタープログラム』への派遣も、他社のMBAコース的なものなどと比較検討し、見積もりもとったうえで選定しています。育休からの復帰に伴う危機という課題に特化していることがいちばんで、加えて育休中に子ども連れでも参加でき、しっかり課題もあって単価もリーズナブルであることなどが選定のポイントです。私が心酔しているということではなく、客観的に見て優れていると判断しました。

    自分が受講したときに、これは会社が費用を負担するべきだと思っていたので、施策として実現できてよかったと思います。意識の高い個人が自己負担で行くものではなく、会社のほうが意識を上げて、人材育成の一環で活用すべきものであるという認識が世の中にも広まるといいと思っています。

    同時に、会社で費用を負担している以上、受講者には本当に真剣に取り組んでほしい。その覚悟を持った人に挙手してもらっています。会社としても、受講者と受講OGでチャットグループをつくり、プログラムの内容を明かすようなことはしませんが、わからないことなどがあるとOGがアドバイスするなど、受講サポートとネットワークづくりなどをしています。

    やはり、仲間がいると心強いですよね。今後、チャットグループが期を追うごとに人数が増え、前向きな意見交換ができるコミュニティに育っていけば、社内で働くうえでの強力な支えにもなるでしょう。一人ひとりにスキルアップしてほしいですし、それが相乗効果をもたらすような環境をつくっていきたいと考えています。この取り組みと成果は、定期的に経営陣にも報告しているので、ちゃんと効果があるということを証明していきたいです。

  • ―5年間の取り組みを振り返ってどうですか。また、女性活躍、DE&I推進において教育が果たす役割は何でしょう。

    鹿島さま
    やはり、自己啓発には限りや偏りがあるので、会社の行動指針と照らし合わせて成長することを目指し、それに沿った教育を提供していきたいと考えています。DE&Iも会社の共通の基盤として定着を図るには教育が有効だと思います。

    5年間を振り返ると、当時と何ら変わることはなく、私はずっとみんなに昇進してほしいと思っています。『プチMBAマスタープログラム』チャットグループのメンバーからも、昇進しているという実績をつくりたい。自ら手を挙げてしっかり受講した人たちが、経営の素養や多角的な視点を持ったよいロールモデルになってほしい。社内が、そんな理想のロールモデルであふれてほしい。そう思っています。

    若手女性が多く辞めた5年前、彼女たちは、恐らくロールモデルがいないから希望を持てずに辞めてしまったのかもしれません。もちろん、育児中の人のロールモデルだけとは考えていません。いわゆるバリキャリの人(こちらから働きかけずとも管理職を目指したいと考える方)もいます。ただ、現時点ではもっとも課題に直面しているのが子育て中の人たちなので、そこは私たちが必要な手助けをしながら、ほかの人たちと変わらない昇進ルートをたどってほしいと思います。バリキャリ、介護中の人などはまた別の施策を考えていくつもりです。

    5年前、最初のプレ研修的なヒアリングのとき、「仕事へのモチベーションが下がってきていたが、頑張ってみようかなと思えた」、「普段、何となく感じていることが浮き彫りになって有意義だった」、「日々の業務に忙殺されていたが、考えるきっかけになった」など、いろいろな声がありました。2時間程度のトライアルで、すぐに効果はわからなかったけれども、今振り返ると確かに前向きな気持ちになれたのでしょう。実は今日、久しぶりに当時の参加者リストを見返したのですが、結構昇進しています。私もその一人ですが、部長クラスも含めて普通に何人も。とても嬉しいです。なお、5年前(2019年度)の女性管理職比率は5.3%でしたが2023年度は11.9%と増加しています。

  • ―最後に、御社のように課題を抱え、研修の導入を考えている企業さまへのメッセージをお願いします。

    鹿島さま
    5年前、若手の女性が多く辞めていくことに漠然と危機感を抱いた私たちのように、恐らくどの組織でも、最初は課題がぼんやりしているものだと思います。ワークシフト研究所は一緒に、その課題の解像度を上げてくれる存在です。プロジェクトメンバーも少なく、時間も限られるなかで、この有識者の方々が一緒に考え、解像度を上げてくれることはとても力になりました。おかげで、私たちが当初想像していた以上の価値や成果を一緒につくれたと思います。たとえ短期的には成果が見えなくても、今、私が5年前を振り返って成果を確認できたように、中長期的には必ず成果が出てくるので、まずはやってみるといいと思います。

    成果が出る要因の一つに、ケースディスカッションのテーマが自分事として捉えられる題材ばかりで頭に残りやすいことが挙げられると思います。実務環境に合わせてカスタマイズしてもらえるので、受講後も日々の仕事のなかで折々に思い出されるのでしょう。とにかく私たちへの寄り添い方が細やかなので、一緒に取り組むことで新たな風景が見えてくると思います。

    ―嬉しい言葉をありがとうございます。女性研修にはじまり、全社向けのダイバーシティ研修、『プチMBAマスタープログラム』への社員派遣と展開している御社の中長期的な取り組みを、私たちも興味をもって見ています。これからもどうぞよろしくお願いします。

    取材・ライター:山田雅子

  • インタビュー後記

    ウイングアーク1st様には、2019年12月に女性向けの研修に関して当事者にヒアリングし、女性社員向け研修の実施、全社員向けのダイバーシティ研修の実施、そして弊社の「プチMBAマスタープログラム」をOff-JT(職場から離れて行う研修や教育のこと)としてご活用いただいています。

    DE&Iの推進には経営層のコミットメントが重要ですし、担当メンバーの熱意が強いほど、研修の目的や会社の方向性も社員に伝わり、ひいては会社全体の風土に変化が起きるものです。
    ウイングアーク1st様については、役員の方もいち参加者として研修にご参加いただき、DE&Iを経営戦略として取り組む姿勢を明確にされていました。また、プロジェクトチームは研修を導入するだけではなく、評価につなげる仕組みも整えるなど、研修を有効に活用いただき、あらためてその実行力に感服した次第です。今後もウイングアーク1st様の課題解決のお手伝いができたら幸いです。取材にご対応いただいた鹿島さま、ありがとうございました。(小早川優子)