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株式会社ワークシフト研究所

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東日本旅客鉄道株式会社 マーケティング本部 くらしづくり・地方創生部門 新規事業ユニット PeerCross事務局 ご担当者インタビュー 〜ワーキングマザー向けキャリア形成支援サービス「PeerCross」内でワークシフト研究所のプチセミナーを実施!〜

JR東日本の社内ベンチャープログラムからスタートした新サービス「PeerCross」は、大企業のワーキングマザー同士が「会いたい人を探して1on1で相談できる」キャリア形成支援サービスです。企業が契約し、その社員が個々に利用するスキームで、現在大手企業32社で導入されています(2024年5月現在)。1on1でのマッチングや複数人でお話しできる座談会のほか、利用者さま向けに有識者によるセミナーを開催。そのセミナーにワークシフト研究所がプログラムを提供しました。忙しいワーキングマザー向けにオンライン・1時間の限られた時間で、『育休プチMBA®』などの要素を詰めこんだプログラムです。「PeerCross」立ち上げメンバーの一人で、プログラム導入を推進した堀元由梨氏に話を聞きました。(取材日:2024/5/9)

  • ―「PeerCross」立ち上げの経緯を教えてください。

    堀元さま
    「PeerCross」はワーキングマザー向けのキャリア形成支援サービスで、JR東日本グループの新事業創造プログラム「ON1000」から事業化されました。発案者は一緒に事務局をやっている小西で、私は事業の推進に携わりたいと思い、社内の公募制の制度を利用して参画しました。小西とは元々入社が同期で仲が良く、第一子の育休のタイミングが同じでした。ちなみに、そのときに小西に「『育休プチMBA』という勉強会があるけど一緒に行かない?」と誘われて参加したのが、ワークシフト研究所との出会いになります。

    そもそも「PeerCross」は、起案者の小西が第一子育休からの復職後に、お子さんの体調不良や周りとのコミュニケーション不足で、いわゆるマミートラックに乗ってしまった経験からスタートしています。モチベーション高くフルタイムで復帰したものの、なかなか思うように働けず、上司からの良かれと思った配慮により仕事においての成長機会を感じられずモチベーションが低下し、周りで相談相手を探そうとしたのですが、これが難しかったのです。女性の先輩たちは、話せば皆さん相談に乗ってくれたと思いますが、私からするとバリキャリのようなすごい方ばかりに見えていました。小西の勝手な思い込みですが、相談しても「それはあなたが頑張っていないからだ」と言われてしまいそうで、相談できなかったといいます。当時、自分と同じような価値観、境遇で頑張っている人に相談したかったという思いから、「PeerCross」が生まれました。

    一方、私は時短で復職したのですが、できる範囲で今まで通りに頑張りたい気持ちがありました。当時、私は運転士業務に就いていて、周りは家庭とバランスをとって働きたい志向の人が多く、小西とは逆の意味で、もっと頑張りたいという相談はしづらい空気がありました。なので、私は私でこのサービスの理念にとても共感し、参画することにしました。

  • ―2023年にサービスがスタートし、今はどのような状況ですか。

    堀元さま
    2023年7月から12月までトライアル期間として展開し、2024年1月から本サービスを開始しました。現在、32社様にご導入いただいています。

    営業していた感触としては、ある程度の規模の企業様はもう時短など両立して働くための制度も整い、女性が育休を取って復職することは当たり前になっているので、そこに課題感は感じられませんでした。ただ、今度は復職してから仕事を続け活躍するという点に、どの企業様も課題をお持ちのようでした。例えば時短からフルタイムに戻すタイミング、管理職登用などです。企業様側は、そこに何らかのアプローチはしたいけれども個人的な話なので踏み込みにくい。そこで、この当事者同士でエンパワメントしあうことができ、さらに社外に目を向けることもできる「PeerCross」に価値を感じていただいているのではないかと思います。

  • ―ワークシフト研究所にセミナーを依頼した経緯はどのようなものですか。

    堀元さま
    「PeerCross」にはセミナー開催など有識者によるインプットの機能も持たせました。マッチングはあくまでも当事者同士の会話によるもの。それだけでなく有識者による知識のインプットがあることで、キャリアへの考え方やマッチングの1on1の質を高めることができると考えたからです。セミナーを入れると決めたときから、私や小西が育休中にとてもエンパワメントされたのが『育休プチMBA』だったので、ぜひワークシフト研究所にお願いしたいと思っていました。

    私たちが主要なターゲットとしている層は、フルキャリ層と呼ばれる家庭も育児も頑張りたいし、仕事もあきらめたくないという人たちで、なおかつ年齢的には管理職になる一歩手前の層がボリュームゾーンとなっています。マネジメント層向け研修の内容とも違うし、両立支援セミナーなどで実施されている家庭内での調整に寄った内容も違う。利用者さまにはもちろん、私たち自身も受けたいと思うのは、やはりワークシフト研究所のものではないかと思いました。

  • ―具体的にどんな内容をリクエストしましたか。

    堀元さま
    管理職一歩手前の方々が自分のキャリアを長く考えられることと、少しマネジメントに目が向けられるような内容をお願いしました。「PeerCross」は、あくまでも「自社で」キャリアを中長期的に考えることを目指すものなので、それに沿った内容です。あとは、利用者さま同士がお互いを知ると、よりコミュニティが活性化して利用につながるので、利用者さま同士で話してアウトプットする機会もつくってほしいとお願いしました。

    運営側としては、参加者の裾野を広げたいという狙いがあったので、あまり専門的な堅い用語やインプットばかりにならないように、どちらかというとわかりやすい表現で、オンラインでランチタイムの1時間という限られた時間のなかで、アウトプットもできるようにアレンジしてもらいました。

    この1時間×2回という設定は、多くの人が参加できるように試行錯誤するなかでたどり着いた形です。これも相談のうえ、2回参加が望ましいですが、各回で完結して1回からも参加できるようにしました。今回はハードルを下げることを第一に、1回完結型で考えました。

    リクエストしたあとは、もう「こんな感じでどうですか」「いいですね」とどんどん進んでいきました。私たちも『育休プチMBA』でイメージは持っていたので、やりとりはとてもスムーズでした。

  • ―実施してみてどうでしたか。受けた方の感想なども教えてください。

    堀元さま
    セミナーには各回約40名が参加してくれました。今年の2月と3月に実施して、今年度もぜひやりたいと思っています。

    受けた方の声としては、「ライフイベントとの両立で時間的制約があるなかで、このように考えていこう」といったメッセージを明確に打ち出した点を評価する声や、ほかの利用者さんと交流できたことがよかったという声を多くもらいました。座学も充実していて、私自身も事務局として聞きながら、メモを取ってばかりでした。特にマネジメント視点に反響がありました。自分自身のキャリア戦略をシートに書き出すワークも、「言語化することでより明確に、具体的にキャリアを考えられた」と好評でしたし、時間が足りない、もっとやりたいという声も上がっているので、延長戦的な座談会も実施しました。

    総じて、ワーキングマザーの方たちは時間がなく、普段は自分自身のことを振り返る時間を持てないので、この1時間で改めて自分は何をしたいのかと考えられたことがとてもよかったと思います。1時間は決して十分な時間ではありませんが、その中で気づきがたくさんあり、次に何をやりたいのかが見えてきたのではないでしょうか。特に、業界、業種の異なる会社の人同士で話すと新たな気づきにもつながります。それは、私自身も実感していることです。

  • ―みなさん、エンパワメントされましたか。

    堀元さま
    はい。いろいろな視点で見ることで、自分の会社の良さや自分の可能性に気づいたと思います。営業に行くと「このサービスは転職斡旋になりませんか。他社がよく見えてしまうのでは」とよく言われるのですが、逆で、自社の良さに気づくことのほうが多いです。例えば私の運転士業務にもすごく興味を持ってくれて、「かっこいいですね」などと言われるとまんざらでもないような(笑)。社内では当たり前で褒められることもないので新鮮でした。実際、感想で「転職を考えていましたが、今回このセミナーを受けて5年後、10年後まで考えられていなかったと気づき、自分を見つめ直そうと思いました」というものもありました。

  • ―今後はどのようことをやってみたいと考えていますか。

    堀元さま
    私たちは、「ロールモデル」ではなく「ロールパーツ」と言っているのですが、このコミュニティには、一人のモデルではなくいろいろな人に出会って、いろいろな人のいいところをつまみ食いできる良さがあると思っています。今後は一層、いろいろな方をコミュニティで紹介したり、このコミュニティの良さをセミナーなどを通して多くの方に体感していただきたいと考えています。私たちが描いている大きなビジョンは、女性活躍という言葉をこの世からなくすこと。このサービスがいらなくなるくらい、みんなが自然に両立できる世の中になるのが理想です。
    セミナーは、今回と同様に管理職一歩手前の層に向けてもやっていきたいですし、それだけではなく、また違う観点で後押しできるような内容や、もう少し上位層に参加者を絞ったマネジメント寄りのセミナーも考えています。今回は裾野を広げることに注力したので、内容的には少し物足りないという方もいらっしゃいました。もう少しレベルアップした内容などを前向きに検討していきたいです。

  • ―課題を抱え、セミナーの導入を検討している企業さまへのメッセージをお願いします。

    堀元さま
    ワークシフト研究所のプログラムは、こちらの希望を言語化した上で、他社事例なども踏まえて更なる付加価値を付けた提案をしてもらえますし、内容も自分を肯定されるようなものが多いので、その点でもおすすめだと思います。インプットもアウトプットもあり、どんな仕事をしていても自分の業務に当てはめて考えられます。両立中の人なら、家庭内のマネジメントにも置き換えられます。敷居も高くないので、ぜひ導入を検討されるといいと思います。

    「PeerCross」は、いずれは世の中に必要なくなることをビジョンに掲げつつ、当面はライフイベントと両立するにはなくてはならないサービスを目指しています。対象もワーキングマザーに限らず、様々なダイバーシティ領域、例えば男性育休や介護など様々な悩みに対して助けとなるサービスになっていきたいと考えています。特に男性育休は喫緊の課題で、実際に復職後につまずくような話も聞きます。今後はより幅広く検討していきたいと思います。

    ―様々な展開が考えられますね。素晴らしいコミュニティの広がりを期待しています。ありがとうございました。

    取材・ライター:山田雅子

  • 取材:2024年5月
    撮影協力:SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)

  • インタビュー後記

    弊社のセミナーを導入いただきありがとうございます。ワーキングマザーのキャリア形成に特化したサービスをご自身の経験・課題感から立ち上げた、その推進力にまずは感服しました。育休復職後のキャリア形成を担うという点で、弊社の「育休プチMBA」とも相性が良く、相乗効果を担うことが益々できればと存じます。
    事務局・参加者の皆さんも、ランチタイムに効率よく、でも深く学びたい!という意欲が高く、ディスカッションも多く取り入れたプログラムとしておりますが、それでも「もっと話したかった」という声が出る程で、講師としても大変学びの多い時間となっています。今後とも皆さんが益々前向きになるようなご支援ができればと思います。取材にご対応いただいた堀元さま、ありがとうございました。(小早川優子)