2025/11/19
コラム
DE&I時代の新常識:男性の育休はキャリアの「中断」ではなく「助走」である
— 11月19日「国際男性デー」に考える、企業が今すぐ取り組むべき次世代の男性育休支援
11月19日は「国際男性デー」です。男性が直面する課題に目を向け、健康やジェンダー平等の促進を考える日として、世界中で様々な議論が交わされます。日本においても、「男性の育児参加」は人的資本経営を推進する上で欠かせない重要なテーマです。
男性育休の「現状」と「目標」
男性の育児休業取得率は確実に上昇傾向にありますが、その道のりはまだ半ばです。
厚生労働省の発表によると、2022年度の男性の育児休業取得率は17.13%となり、前年度から約3.17ポイント増加しました。これは過去最高を更新する数字です。しかし、女性の取得率(約80%)と比較すると、依然として大きな開きがあります。
政府は、男性の育児休業等取得率について、「2025年度に50%」、「2030年度に85%」とする目標を掲げています。この目標達成に向け、企業には、2022年10月施行の「産後パパ育休(出生時育児休業)」を含め、取得しやすい環境整備が強く求められています。
人的資本経営の要諦:キャリア中断への懸念払拭
企業価値向上のために「人」を資本として捉える人的資本経営において、男性社員のライフイベントとキャリアの両立支援は不可欠なテーマです。
しかし、多くのビジネスパーソン、特に管理職層やキャリア志向の強い男性社員から、育休取得に対する強い懸念の声が聞かれます。
- キャリアの中断懸念: 「昇進・昇格のレースから取り残されるのではないか」「休職中に自分のポジションがなくなるのではないか」という不安。
- 復帰後の両立への不安: 「家庭と仕事のバランスが取れなくなるのではないか」「マネジメント職としての責任を、育児と両立できるのか」という自信のなさ。
企業の人事やDEIご担当者の皆様は、単に「取得率」を追いかけるだけでなく、この「キャリアと両立への不安」を払拭し、「育休を前向きなキャリア形成の機会」と捉え直させる支援にこそ、今すぐ注力すべきです。
育休は「キャリアの空白」ではない—「育休プチMBA」という解決策
そこで弊社ワークシフト研究所が提案したいのが、育休期間を「学びと準備」に充てるための研修プログラム、「育休プチMBA」です。
育休プチMBAは、育休中に限られた時間で集中的にビジネススキルやキャリアデザインを再構築するプログラムです。育児という非日常の経験から得られる「時間制約下での生産性向上」「マルチタスク能力」「感情マネジメント力」などのポータブルスキルを、育休の経験知として言語化・構造化します。
【育休プチMBAが払拭する懸念】
| 懸念点 | 育休プチMBAによる払拭効果 |
| キャリアの中断不安 | 「学びと準備」の時間として再定義。復職後の業務に直結する視点、マネジメントスキル、リーダーシップを磨き、キャリアの「助走期間」に変えます。 |
| 復帰後の両立不安 | 育児と仕事の両立を経験している「両立のプロ」とのネットワーク構築、具体的な時間管理・生産性向上スキルを習得し、自信を持って復帰できます。 |
これは、単なる育休取得奨励策ではなく、「男性社員の育成と戦力化」を目的とした投資です。男性社員が両立不安を解消し、より高いモチベーションと生産性を持って復職することは、組織全体のエンゲージメント向上、ひいてはDE&I推進と企業競争力の強化に直結する、人的資本経営の根幹をなす施策です。
DE&I担当者へ:今がアクションの時です
「男性が育休を取るのが当たり前の時代」は、もうすぐそこに来ています。政府目標の達成と、企業価値の向上という二つの要請に応えるためにも、男性の「キャリアを断絶させない育休支援」は不可欠なインフラです。
国際男性デーを機に、貴社の男性社員が抱える潜在的な不安を可視化し、育休をキャリアの大きなプラスに変えるための具体的な施策、例えば「育休プチMBA」の導入をご検討いただければ幸いです。体験参加もお気軽にお問い合わせ下さい。
株式会社ワークシフト研究所







