米国は多様性の尊重を選んだ

ワークシフト研究所
代表取締役 小早川

米国の大統領選挙の決着が(一応)つきそうだ。他国の選挙であるが日本の選挙以上に日本国内で盛り上がりを見せている。

今回の選挙で注目されていることの一つに、次期副大統領が女性、しかもマイノリティ(この場合は非白人)であることが挙げられる。また民主党を支持した層が主に若者であり、同時に行われた議員選挙でもマイノリティプロファイルを持つ男女が多く選出されている。
次期副大統領のカマラ・ハリスのスピーチにあった「私は副大統領になる最初の女性かもしれないが、最後の女性ではない」(著者意訳)の言葉にも象徴されるように、世界における多様化の流れはさらに加速しそうな勢いである。

米国の大統領選挙の流れから、日本社会における同質性の強さ、または女性リーダーの少なさを指摘する圧力は今後さらに高まることが予想される。

日本において男女の教育水準はほぼ同じレベルに達している。しかしながら経済活動の場においては男性のリーダーが圧倒的に多く、女性のリーダーは常に不足している。(*1)

多くの女性は、チームメンバーを引っ張る「強い」リーダーシップスタイルではなく、周囲の意欲をあげながらチーム全体で目的に向かうリーダーシップスタイルを得意とするが、複雑で細分化され変化の激しい社会においては後者のリーダーシップスタイルの方が業績に良い影響をもたらすことがわかっている。(*2) また、女性の管理職、取締役の多さは、組織に多様性を生み出し、多様性はイノベーションの源泉となり、結果、企業の業績に正の相関があることもわかっている。(*3)
よって、VUCAの時代には女性リーダーは重要な役割を果たす。

多様性は組織の経営戦略

一方で、リーダーになりたがらない女性も多い。
よく「女性は意欲が低い」と言われるが、実際には「低いのは意欲ではなく、自信である」ことが分かっている。(*4)
自信が低い理由はいくつかある。

1つ目は生物学的な理由である。
20代30代の女性は同じ年代の男性と比べ「不安」が高い。(*5)
特に出産を経た女性はホルモンバランスの変化の激しさ故に更に不安が高まる人もいる。

2つ目は職場で期待される役割の違いである。
組織が男女に平等にリーダーを求めていても、性別の違いによって上司がかける言葉、アドバイスに違いがあることが分かっている。上司は差別するつもりはなく逆に良かれと思ってアドバイスをするのだが、男性部下と女性部下に求めるものが違ってしまう。上司以外からも職場でかけられる声、依頼される仕事の内容、配慮したつもりがジェンダーバイアスによって女性の自信を削ぐことに繋がる場合も多くある。

その結果、入社時には将来管理職を希望していた女性が、就労の年数を重ねる毎にその意欲を低下させている。意欲低下の要因は、日常的に自分はリーダーとして期待されていない、周囲からの自信を削がれる言動により自信を失ってしまうからである。一方で男性は自信を持たされる言動を周囲から受けるので就労の年数を重ねても管理職を希望する割合はほとんど変化がない。(*6)

これらの違いは、日常的に起こる小さな違いであるため目につきにくい。また20代の女性自身も自分がリーダーへの意欲が高くない理由を理解してない場合も多く、不安の大きさから「自分はスキル不足ゆえにリーダーに向かない」と思い込んでいる場合が多い。

また、女性は男性に比べライフイベントがキャリアに大きく影響を及ぼす故に女性向けリーダー研修ではライフイベントの共存とそこからくる壁を乗り越える力が必要とされる。

リーダーシップの面では、外様(とざま)でありマイノリティである女性が男性と同じスタイルのリーダーシップを取る場合、評価が下がる、誤解を受けるなどのマイナスの効果をもたらす場合が多い。そのため、女性の特徴に配慮したリーダーシップ教育、思考改善を行わなければ効果がない。

最も効果的な女性育成研修とは、これらのバランスに偏りがなく、ビジネススキルの体得とマインド変革が同時並行で実践されるプログラムであり、擬似体験の場で小さな失敗体験を積みながら個々人の能力を最大限に伸ばすことができるケースメソッド 教育が最も適している。

弊社の女性限定の研修は、女性が社会で長い間培われた不安要素を溶解し、女性がリーダーとして意識を再凍結させる、真に必要なスキルに焦点を当てたプログラムである。

同質社会の成長には限界がある。多様化社会を築くためにはコストもかかる。しかしながら日本が更なる発展を遂げ、世界の国々と伍して共栄するためには避けては通れない課題である。


 

*1  世界経済フォーラム「男女平等ランキング」

*2 日経ビジネス「男性より女性の方が、「革新的リーダー」になりやすい 変革を起こすための4つの資質」入山章栄

*3 The Bottom Line 2011: Corporate Performance and Women’s Representation on Boards (2004-2008), Catalyst

Women Matter: Time to Accelerate: Ten Years of Insights into Gender Diversity, McKinsey Report 2017

How and Where Diversity Drives Financial Performance, Rocio Lorenzo and Martin Reeves, Boston Consulting Group

Japan Portfolio Strategy 2019: ウーマノミクス5.0, Goldman Sachs

*4 ワークシフト研究所 働く女性の意欲調査 2018

*5 「シャーデンフロイデ」中野信子、「進化心理学から考えるホモサピエンス」 アラン, S, ミラー

*6  男女正社員対象ダイバーシティ推進状況調査 (2016−2020年度)公益財団法人 21世紀職業財団


 

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