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2019/10/10

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地域再生は産官学の仲間作りから

ワークシフト研究所
研究員 小谷恵子

こんにちは。ワークシフト研究所の講師 兼 研究員の小谷恵子です。

徳島県神山町をご存知ですか?山あいの限界集落だった土地のNPOが中心となり、今では地方再生の成功例になっています。多くない地域資源をうまく活用して、対策を打ち出してきました。

アーティストインレジデンス、空家を活用したワークインレジデンス、東京のIT企業のサテライトオフィス、人材育成の神山塾、移住者の逆指名、そして今度はITやAI、デザインを学ぶ私立の高等専門学校を創るのだそうです。ドワンゴのN高とはまた違った学校形態で、きっと全国から神山を目指して集まる家族が増えるのだろうと、今からワクワクしてしまいます。

実は、地域再生は地方だけの問題ではありません。
東京23区内でも、再生が必要な場所がいくつも残されています。その一つが台東区山谷地区。漫画『あしたのジョー』の舞台で、昔は日雇い労働者の簡易宿泊所が立ち並んでいました。60年代からいくつもの暴動があり、80年代ですら路上にいる当たり屋を避けて運転しなければなりませんでした(若い頃、父からは、その地区を車で通ることは禁じられていました)。東京に住む人の多くが、ほとんど足を踏み入れたことの無いその場所に、近年外国人旅行者や若者が入り始めています。

発端は日韓ワールドカップでした。安い宿泊施設を探した長期滞在の外国人からの口コミが広がったのです。今では、地域や行政の取り組みのおかげで、綺麗なゲストハウスや、シェアハウス、バーが少しずつ増えてきています。一方で、昔からの商店や宿泊所は、外国人の対応がままならず、高齢の経営者が廃業していく姿もあります。

先日、山谷の居酒屋で地元の飲食店の方、地場産業でもあるモノづくりの方、観光連盟の方、広告業界の方、行政の方、他の地域の地方活性の担い手の方がそろい、意見交換飲み会が開かれました。とても活発な議論が展開され、大変刺激を受けました。私もアカデミックな視点から何かお手伝いできないものか、と考えあぐねているところです。官の先導でうまくいくとは思えないし、民だけでは頑張れない。やはり、産官学が連携すべきではないか、と思っています。

課題は、奥浅草と呼ばれる、観音裏から吉原、山谷のエリアを活性化するまちづくり。アーケードが無くなり夜空が見えるようになった「いろは会商店街」ですが、いまだに路上生活者がそこでテントを張っています。オリンピック以降を見据えて、神山の成功要因を概念化しつつ、どうやったら独自の価値を生み出して再生できるのか、昔からの良い部分を残して新しいものを取り入れて融合できるのかを考えていきたいと思っています。

(了)

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