「ジャニーズというブランドを考える」

アラフィフ 博士の経営学研究コラム Vol.7

ワークシフト研究所
研究員 小谷恵子

こんにちは。ワークシフト研究所の講師 兼 研究員の小谷恵子です。

最近、ジャニーズ、吉本興業と、芸能事務所周辺が騒がしいです。
私は「たのきん」世代ですが、当時は洋楽ばかり聞いていたので、あまりジャニーズに傾倒したことはありません。
そんな私ですら、これまでのヒット曲やJr.以外のタレントの顔はだいたい分かるほど、国民的に浸透しています。

ジャニーズ事務所は男性アイドル業界では独占ともいえる地位を確立してきました。
芸能界のご多分に漏れず、所属タレントのグループ脱退をはじめネガティブな報道が散見されるものの、ブランドは失墜することなく、多くの顧客を獲得してきました。

Five Forcesで考えると、買い手や売り手に対する高い交渉力や新規参入の高い障壁を保つことで、ジャニーズ事務所一強の地位を確立してきたわけです。

しかしながら、2016年のSMAP解散以降、嵐の活動休止宣言、社長のジャニー喜多川氏の死去、そして、独占禁止法に関する公正取引委員会からの注意と、そのブランドを大きく揺るがす出来事が続いています。

この状況を経営の面から捉えることもできますが、今日はブランドについて考えたいと思います。

ジャニーズのファンと一言で言っても、メンバー個人が好き、グループが好き、Jr.から応援して育てるのが好き、ジャニーズ全般好き、と色々な方がいると思います。メンバーが好きでもそのグループが好きとは限らないし、特定のグループが好きでもジャニーズ全部が好きとはならないでしょう。

ファンの多くは、特定のタレント>所属するグループ>ジャニーズ事務所 という優先順位になっていると思われます。つまりその順で、各ブランドに対する信頼が構築されます。推しメンに、そして推しメンがいるグループに、金銭的コスト、時間的コスト、心理的コスト、エネルギーコストを惜しみなくかけるわけです。

SMAPのようにグループが解散しても、特定のメンバーのファンだった人は、人柄など自分が信頼していたブランドに大きな変更がない限り、そのメンバーを応援し続けるでしょう。ジャニーズ事務所は、その優先順位がタレントやグループより下位にいるため、ブランド構築は相対的に難しくなります。事務所のブランドを構築するキーファクターの一つは、タレントやグループを常にサポートする姿勢です。

ですので、事務所が一番やってはいけないのが、ファンが一体となっているタレントやグループを傷つける行為、ないがしろにする行為(またはそのように見える行為)です。タレントと一体化しているファンは、自分が攻撃を受けている、ひどい扱いを受けていると感じてしまうので、一気に事務所のブランドが失墜します。

今、ジャニー喜多川氏の死去により事務所への関心が高まり、ファンは新ジャニーズ事務所がどうなるのか注目しています。今後のジャニーズブランドを信頼するかどうかは、ジャニー喜多川氏の帝国を引き継ぐ新体制がどんな方針を打ち出すかによって変わってきます。
タレントを大切にする姿勢は、タレントの事務所へのコミットメントを高めるため、ではなく、ファンに向けたアピールとして重要です。なぜならタレントと一体化しているファンは、タレントを大切にすることは自分を大切にされていることと同義になるからです。その点を新体制がうまく打ち出すことができれば、ジャニーズブランドはより堅固なものになるでしょう。

少し一般化して言うと、プロフェッショナルに対して顧客がついているとき、プロフェッショナルを抱える組織(会社)は、プロフェッショナルに対してサポートする姿勢を持ち、さらに顧客にアピールすることが重要です。それにより、会社は顧客からの信頼を獲得し、会社のブランド構築に役立つのです。

今後のジャニーズ事務所や吉本興業がどんなブランドを構築していくのか、その動向を注視したいと思います。

(了)

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