2019/7/3
コラム
【コラム】「哲学対話」って何?
2019年5月14日から日本経済新聞で、「キセキの高校」という記事が 全5回 連載され、話題になりました。
偏差値40という東京都立の中でも最下層の高校から、有名大学の合格者が相次いでいる、生徒を変えたのは「哲学対話」という集いであることを取材したものです。
第1回目の記事には、受験とは全く関係ないテーマである「恋愛」について議論したと掲載されていました。このような対話によって本当に偏差値が上がるのか。
記事を読んで半信半疑になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は「哲学対話」で偏差値が上がると思います。
それ以上に「学習する人間」に変わる、と断言します。
なぜなら「対話法」によって、モチベーションをあげ、職場で成果をあげ、これまでにない評価をもらっている人達を何百人も見ているからです。
ビジネス研修で行う「対話法」とは「ケースメソッド」のことです。ケースメソッドは元々、ギリシャの哲学者ソクラテスが行なった「対話法」が発展したものです。
「ケースメソッド」 とは、ケースにある状況を分析し、ケースの事象を議論して解決する、のではなく
「ケースの状況の分析を通して、自分の状況を客観視し、ケースの事象を解決するプロセスを鏡として、前提、意思決定のプロセスを自ら認知するものです。
つまり、「ケースメソッド 」において最も重要な作業は、「ケース」を使って自分と向き合うこと、となります。
誰もが自分の苦手なところは知りたくない、できない理由は自分のスキル不足ではなく、他人の責任にしたい。
そして、そのように苦手なことから逃げる自分の嫌な部分も見たくない・・・。
「ケースメソッド 」は時に私たちが最も見たくない「自分の嫌な部分」を目の前に突きつけます。一方で、周囲の人に対しても、今まで見えていなかった部分が見えてきます。
弊社のクラス受講生も受講前より「上司や経営層の発言の意図をより理解できるようになった」という人がおおよそ8割となっています。
ケースの内容は、自分の職場環境と違う場合もあります。
例えば、ケースに出てくる組織が病院やNPOであったり、株式会社とは運営の方法、常識やルールも違う場合がありますし、営業職の話、人事部の話、など自身が体験したことのない職種であることもあります。
そして描かれている出来事も経験したことがないものであったりします。
自分の職場環境と似たようなケースを用いた方が、学習効果が高いのでは?と思う方もいらっしゃると思いますが、そうとも限りません。
長い目で見ると実際の職場環境とケースの状況が違う方が、効果が高い場合もあります。
理由は、自分が経験したことのない環境のケースの方が、より客観的に物事を捉え分析できるからです。
ディスカッションで得た気づきは、自身の言葉で概念化して応用できないと意味がありません。
この概念化と応用は、状況の違うケースの方がそうでないケースより難易度が上がりますから、よりスキルと伸ばすためにも、違う環境に身をおく擬似体験の方が有用です。
日経新聞の記事にある高校で行った、受験と関係のない「恋愛」テーマを議論することも、概念化と応用力を鍛えることに繋がっていることでしょう。
ケース・メソッドでは、
具体的な挑戦(ケースディスカッション)⇒内省(自身の考えを客観視し分析)⇒概念化(改善点を言語化)⇒応用(具体的な挑戦の準備) という 『脳の学習サイクル』を鍛えることができます。
この学習サイクルをスムースに回せるようなトレーニングを積むことで、一過性ではない、脳のOSが入れ替わるような「意識変革」も起こりうるのです。脳のOSがアップデートされほどに、学習サイクルを回すには、繰り返しのトレーニングが必要となります。
しかし、企業研修などでは、何十回も繰り返してトレーニングすることは現実的ではありません。
弊社の「ワークシフト・メソッド」はこの学習サイクルをより短期間で回せるように構成されたメソッドです。
ワークシフト・メソッドは「対話」を通じて自身を客観的に分析し、心理的安全度の高い環境で議論をすることによって「達成感」を得られるプログラムです。学びの礎となる小さな失敗経験と自己肯定感を高める成功体験、いずれも得られるプログラム構成です。
一連のケース・ディスカッションの後に、学んだ事例を自身の職場に応用する議論を行い、最後に内省(思考改善のPDCA)時間を組み込むことで、少ない回数で「意識変革」を実現し、改善した思考を研修後にも続けられる(研修の学びを実際の職場で生かす)仕組みとしています。
ご興味のある方がぜひ一度体験していただければ嬉しいです。
弊社の個人向け研修クラスの見学は、随時受けつけておりますので以下のフォームからご連絡ください。