神社はサービス業ではない?

アラフィフ 博士の経営学研究コラム Vol.4

ワークシフト研究所
研究員 小谷恵子


こんにちは。ワークシフト研究所の講師 兼 研究員の小谷恵子です。

最近もう一つ肩書が増えました。
「青山学院大学 国際マネジメント学術フロンティア・センター 特別研究員」です。
これは、博士号を取得した後でも研究を続けるために大学に用意して頂いたポスト。
心して研究を続けたいと思っています。

さて、年号が令和に変わりましたが、その瞬間、皆さんは何をされていましたか?

我が家は、息子の友達2人が泊りに来て、私はジャンプする男子3人の動画を撮っていました。いわゆる#令和ジャンプ。Twitterなどで拡散した若者のトレンドで、ラピュタの「バルス」やサマーウォーズの「よろしくお願いしまぁぁぁす」と同じ。その瞬間に知らない人がSNSで同じ行動をとることでツナガっている感を醸造する、という興味深い現象です。SNSはこれからのマーケティングには欠かせないツールですね。

さて今日はSNSの話ではなく、令和の話を。5月2日の早朝、私は浅草神社に参拝に行きました。
令和になってご挨拶に伺い、新たな時代も幸せな時代になることをお願いするとともに、御朱印を頂くことが目的でした。3時間はかかるかな…と覚悟していましたが、結果5時間かかりました。
でも、自分の記念ですし、並ぶのは覚悟していましたので、待ち時間に読むための本も持参しました。

先日その神社から、コメントが発表されました。令和の特別御朱印頒布期間中のトラブルに関するもので、その結果、例年行われてきた三社祭の特別御朱印頒布を中止する、というものでした。

いろんな意味で大変残念に感じています。
残念なポイントは、
1.各神社で行われた令和特別御朱印がメルカリ等で高額転売されていたこと。
これはニュースにもなりましたが、利益を得ることを目的に並んでいた転売ヤーがいたせいで、楽しみにしていた方が受け取れなかったかもしれないと思うと、残念な気分になります。

2.待ち時間が長いことに腹を立てた参拝者が多くいたこと。
神社によれば、「暴言・恫喝また暴力に近い行為に及ばれる方、職員を取り囲み罵声を浴びせられる方々、遠方よりお越し頂いている事を理由に特殊な対応を求められる方、説明をしている最中に大声を出し遮られる方、整理券をひったくるように受け取られる方」などがいらしたそうです。これらも大変残念です。

御朱印ブームの昨今、きっと嫌な思いをされた神社関係者の皆さんが多かったこととお察しします。混乱を避けるために次の特別御朱印頒布を取りやめるという決定も理解できます。

ただ、下記の表現には、違和感を覚えました。

「神社をサービス業と捉えられ、受付時間の変更を提案される方、「こっちはお客さんだぞ」と仰る方、、、(こちらは二度と来社されないでください)ましてや、神社が税金で維持管理されていると思っている方、そして、神社に対し、全ての方に合わせた対応・改善を現場やSNS等で求められる方、含め、その時その時の対応を批判される方々が何人もいらっしゃいました。祈りと感謝を捧げる信仰の場である神社に対し、個人の価値観による利便性を求められる風潮となり、大変残念に思います。」

え???神社ってサービス業じゃないの?・・・調べましたよ。
統計法及び総務省告示第175号で定められた日本標準産業分類では、分類コード9411、立派なサービス業です。
そして、サービスというのは、軽んじられ、見下されるようなものではありません。

現代のマーケティングでは、サービスが交換の基本原理であり、モノはサービスの提供のための流通メカニズムであるという「サービス・ドミナント・ロジック」が重視されており、モノを内包するサービスへのシフトが明確になってきています。

どんな事業であれ、サービスが重要であるという認識がされてきているわけです。サービスの特性には、「無形性」、「不可分性」、「変動性」、「消滅性」、「満足の基準の違い」、「サービス提供プロセスへの顧客の参加」があります。
人々は神社に、目には見えない神様との結びつきを得るため参拝に伺いますが、神社以外の場で同じ経験をすることはできず、その結びつきを保存しておくこともできず、人によって満足する基準も変わり、人がその場に行くことによってのみ神様と対話ができるわけです。そして人々に来ていただけなくなった神社は、衰退してしまいます。

世の中には、学校に対して無理難題を言う親や、遅延に腹を立てて駅員に迫る乗客がいます。理不尽なことを言ってくる人々の要求を、全部聞く必要はないと思います。神社も同じ。
しかし、神社も、モノやサービスを提供することによってお金という対価を得ており、人々がいらしてくれなければ困ります。
不届きで理不尽な要求をする人々を非難し排除するのではなく、是非マーケティングの考え方を参考にし、そのようなことを言う人々にしない(あるいはそういう人々は来ない)サービスが提供できるよう、考え、工夫をして頂くといいのに、と思います。

聖職、医師、法曹などは、崇高な目的をもったプロフェッショナルとして他と一線を画す地位を確立してきました。
しかし、崇高な目的を持つからサービスではない、顧客を考えなくて良いわけではない、と私は思っています。

マーケティングとは、利益を追求すること(だけ)ではなく、顧客(人々)といかに価値を共創していくのかを学べる学問なのです。

(了)


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