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育休制度の影響

2017.11.12

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女性の社会進出を支援する制度自体は、これまで整備が進んできています。1986年に施行された労働者や求職者を性別によって差別することを禁じる男女雇用機会均等法(均等法)は、その鏑矢です。ただ、この制度は男性と同じ仕事上のチャンスを女性に与えることにはなりましたが、それはすなわち男性並みのハードワークを女性に求めることを意味しており、その代償として家庭や子どもを持つことを諦めざるを得なかった女性が多かったと考えられます。例えば一部上場企業の均等法世代の女性を対象にしたある調査を見ると、回答者の4割が未婚、7割が子どもを設けていません。このように「こどもかキャリアか」の選択を突き付けられた女性は、6割が出産を機に離職する「M字カーブ問題」につながりました。M字カーブとは、女性の労働力率が出産・育児の適齢期である20代後半は急激に下がり、子どもの手が離れる30代後半から緩やかに復活することでグラフがM字を描くという現象です。しかし1991年に制定され2009年に改正された育児・介護休業制度(育休制度)で子どもが1歳になるまでは休みをとれるようになったことで、このM字カーブは改善されつつあると言われています。しかしそこにはからくりがあります。

国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」の結婚前、妊娠前に就業していた女性に対象を限定したデータをもとに、育休制度が就業継続率に与える影響を分析してみましょう。結婚前後では就業継続率が1985年の60.3%から2014年の81.0%に増加しており、いわゆる結婚退職は減少傾向にあることがわかります。しかし、第1子出産の前後では2005年までは40%前後の継続率、すなわち育休制度導入後も6割の女性が出産を機に退職していました。この数字は2010年以降に53.1%と大きな改善を見せました。さらに就労形態ごとに比較すると、正規職員は40.4%から69.1%と就業継続率が大きく向上しており、かつ育休制度を利用した割合は13.0%から59.0%(第1子)というように育児休業制度の恩恵を受けていることが分かります。一方、パート・派遣の就業継続率は23.7%から25.2%とほぼ変わらず7割以上が出産退職をしており、育休制度利用者も2.2%から10.6%と少ないままで、自営業主に至っては73.9%と就業継続率は非常に高いが、育休制度利用者は3.0%から8.7%と低いまま推移しており、育休をとらずに就業を継続している様子が見て取れます。

このことから、育児休業制度の導入による変化は主に正社員に限ってみられるものだということが分かります。しかし、それでも依然として「5割も」やめているわけです。それはなぜなのかについては、次に説明したいと思います。

より詳しいデータや理論はこちらをご覧ください。
『人材開発研究大全』(東京大学出版会,中原淳(編),2017年)より「第20章 女性管理職の育成」(国保祥子)

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