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復職後の女性の意欲は意外に高い

2017.11.27

COLUMNS

前回は育児休業制度が導入された後も、5割が退職に至っているということを説明しました。

女性の社会進出を支援する制度自体は、これまで整備が進んできています。1986年に施行された労働者や求職者を性別によって差別することを禁じる男女雇用機会均等法(均等法)は、その鏑矢です。ただ、この制度は男性と同じ仕事上のチャンスを女性に与えることにはなりましたが、それはすなわち男性並みのハードワークを女性に求めることを意味しており、その代償として家庭や子どもを持つことを諦めざるを得なかった女性が多かったと考えられます。例えば一部上場企業の均等法世代の女性を対象にしたある調査を見ると、回答者の4割が未婚、7割が子どもを設けていません。このように「こどもかキャリアか」の選択を突き付けられた女性は、6割が出産を機に離職する「M字カーブ問題」につながりました。

この課題を解決するために、育児と両立しながら働くための制度として導入されたのが育児休業制度ですが、それでも5割が出産を機に退職に至っているのです。そして出産を機に離職する人が多いことで、管理職に占める女性比率をはじめとする女性の活躍指標が我が国は著しく低くなっています。

ところで、女性の結婚・出産後に就業継続をしないという現象は、女性の自発的な選択の結果であるという見方もあります。つまりこどもを育てながらでも働きたいと思う女性は、そもそも少ないのではないか、出産後の女性は仕事を辞めたがっているのではないか、という考え方です。しかし、ある調査では、出産「前」の女性よりも出産「後」の女性の方が就業継続意欲が高いという結果が出ています。

(出典:厚生労働省大臣官房統計情報部「第1回21世紀成年者縦断調査の概況」、有職・有配偶者・正社員で出産の意思がある女性)

このことから、出産自体が女性の就労意識を低下させるわけではなく、働く意欲がありながらも離職する「不本意離職」の女性が多いのではないかと考えられます。そしてその理由は、育児と仕事との両立の難しさ、もう少し具体的に言えば時間的制約の中で働くことの難しさです。当事者の意欲以上に、個人や企業が、こどもを持つことで直面する働き方の変化に適応できていないことが原因であると考えられます。しかしこうした就労意欲が高いにも関わらず、制約によって活用できていない人材は宝の山であるとも言えます。私たちは管理職および当事者の思考トレーニングが、この宝の山の発掘につながると考えています。

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【出典】
内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 平成16年版」
厚生労働省大臣官房統計情報部「第1回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)の概況」
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成20年度 両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究」
厚生労働省大臣官房統計情報部「第1回21世紀成年者縦断調査の概況」、有職・有配偶者・正社員で出産の意思がある女性)

※より詳しいデータや理論、文献の出典はこちらをご覧ください。
『人材開発研究大全』(東京大学出版会,中原淳(編),2017年)より「第20章 女性管理職の育成」(国保祥子)